馬路村青年の野球部 全国大会 2日目

「まさか勝てるとは思わんき、泊まる仕合をしてなかった」
と、応援団一行は、一旦村へ戻り
今日も、また、早くから村を出発。

「もしかしたら、以外といけるがかもしれん」

昨日の夢のような大勝のせいで、
口には誰も出さんかったものの、
密かに皆の心にはそんな思いがあったに違いない。

しかし、
今日の相手、長崎県代表は
迫力が昨日とはまるで違った。

「全国大会みたいな感じや」

緊張感が早朝のグラウンドを包み込んでいた。

相手の雰囲気に、おらが村チーム
少し怯んだか、初回ポーン、ポーンと3点をとられた。

いつもは捕れる、ゆるい球もポロリと落とし、
慌てた空気に誘われるように、エラーが重なった。


おらが村チーム、重たーい雰囲気。
昨日の逆バージョンが頭をよぎる。

そんな時、おばちゃんの声が響いた。
「皆ぁ、今日も早うから起きて、わざわざ来ちゅうがぁぞね。ほらっ、負けな!」
笑いが起こり、場が少し和んだ。

それから、少しづつペースを取り戻し、
竜太君のランニングホームランを皮切りに
踏ん張った、得点を重ねた。
 
5対4、惜しくも勝利には至らなかったが、
皆を十分楽しませてくれた、えい試合だった。

「ようやった、ようやった。」
皆、はつらつと心からの拍手を送った。